信州は今、新そばの季節を迎えていますが、この時期はまた「新みそ」の季節でもあります。
もっとも「新みそ」という言い方はありませんが、昔ながらのお味噌の製造方法ですと、早春の空気が綺麗で雑菌の活動も少ない時期に仕込み、気温の上昇で酵母菌による発酵が活発化し、一夏越えて熟成が進んで風味が乗ってきた10~11月から「今年仕込んだお味噌」として食卓に上ります。
もちろん、ご家庭によりどこまで熟成させるかはまちまちで、1年以上熟成させてから召し上がる方もおられます。
戦後、大半の味噌工場では、温度管理や酵母菌のコントロールをして年間を通じて仕込みを行い、早ければ数ヶ月の熟成で味噌に仕上げています。
昔からの製法は”天然醸造”の一部や「仕込みそ」というタイプの商品で僅かですが残っています。
「仕込みそ」は、春先に味噌屋が仕込んでご家庭にお届けし、ご家庭で秋まで熟成させてから召し上がる商品です。
熟成させる環境がそれぞれ異なることから味噌の味に個性が出て、自分の家の味噌を自慢する「手前味噌」の語源となっています。
近年はご家庭で味噌を熟成させるスペースがないことから、秋まで味噌屋が保管して直ぐ食べられるまでに熟成させてからご家庭にお届けする「仕込みそ預かり品」という商品もあります。ご家庭毎の個性は出ませんが、品質的には安定した美味しお味噌です。
ご家庭では秋に出来上がったお味噌を1年かけて消費するのですが、お味噌ですから食べ始めてからも熟成が進み、色も濃くなります。そのため、食べ終わる翌年夏頃には色も風味も相当変わっていて、翌年の新しいお味噌とは別物です。
日々風味が変化するからお味噌汁は毎日飲んでも飽きない(具材の違いもありますが)のであり、風味の変化を楽しむ商品とも言えます。
切替時期には「今年のお味噌の出来映えはどう?」といった会話がなされたり、新旧の味噌を混ぜ合わせて(合わせ味噌)使ったりします。些細なことですが食を巡る季節の風物詩と言えましょう。
美味しい冷凍食品や惣菜がスーパーやコンビニに溢れていますが、それらとうまく使い分けながら、食の季節感も残していきたいものです。
現在「仕込みそ預かり品」の出荷最盛期です。
若干在庫の余裕もありますので、関心のある方はご注文下さい。