今年も暑い夏となりました。各地で観測史上最高気温を記録したり、線状降水帯が発生して大雨の被害も相次いでいます。
春の過ごしやすい季節、新緑の季節はあっという間に過ぎて夏に切り替わってしまい、今年は梅雨も短かったようです。
四季に対する感覚も変わってきているのではないでしょうか。
長野県の安曇野市周辺を歌ったと言われる「早春賦」という歌に、「春は名のみの風の寒さや」と立春後の寒さを詠んだ歌詞がありますが、立春後の2月中旬に20度近くまで気温が上昇する日があって歌の世界と現実の乖離が大きくなっています。
夏についても「夏は来ぬ」という歌(注1)に、立夏(5月10日前後)後に花の香りや鳥の鳴き声で夏の訪れを少しずつ感じていく歌詞がありますが、5月に夏日が続くような昨今ではそんな風情はゼロです。
雨についても、暑い日の夕方、入道雲がもくもくと湧いてザーと夕立が降り、その後、涼しくなって夕涼みと言った風情は一夏の内でも希になりました。夕立ではなく「ゲリラ豪雨」で命の危険さえあります。
気温の変化が味噌に与える影響
気温の急激な変化は、当然ながらお味噌にも影響します。天然醸造の場合、空気中の雑菌が少ない冬の寒い時期に仕込んで、春から夏のゆっくりとした温度変化の中で発酵熟成が進み、色も山吹色から赤味を増して秋には旨みのある味噌に仕上がる訳ですが、急な暑さで、色の変化(褐変)ばかり進んで熟成が伴わない場合があります。
白っぽいお味噌が高温で急に赤くなったものと、熟成が進んで赤くなったお味噌では味が違います。弊社でも夏前に冷房設備を増設して猛暑に備えました。
味噌汁の中の自然現象
お味噌と天候の話で、味噌汁の中で起こる「大きな」自然現象をご紹介します。
先程、入道雲がもくもくと立ち上ると言いましたが、地表で熱せられて水分を含んだ空気が上空に昇って行き、上空の冷たい空気が下に沈む空気の対流に因るものです。この現象が、実はお味噌汁の中でも見られます。
お椀に盛った暖かいお味噌汁をよく見ると、溶けたお味噌が底の方からもわもわと湧きのぼってくる様子がみられます。これは、お椀の底の暖かい部分が上にのぼってきて、表面で冷えされた部分が沈んでいくお湯の流れに因るものです。
器に入れた水などを熱すると発生する一般的な現象ですが、お味噌が完全に溶けきってしまう訳ではないので、流れがはっきり見えます。理科の学習や天気の解説の中でお聞きになった方も多いと思いますが、お椀の中で大きな自然現象と同じことが起きていると知って、お味噌のパワーみたいなものを感じました(注2)。
天候面での自然の猛威が目立つ日々ですが、従来の季節感は失われても、自然に対する親しみの気持ちや新たな季節感を、いろいろな場面で持ち続けたいと思います。
注1:「夏は来ぬ」:歌詞1番「卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて 忍び音もらす夏は来ぬ」
注2:国立研究開発法人 産業技術総合研究所のHPにわかりやすい説明があります。
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